大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和29(あ)4073 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人三輪寿壮、同豊田求の上告趣意第一点について。

第一審判決は被告人の自白のみによつて判示犯罪事実を認定したものではなく、

その自白の外に多くの補強証拠を綜合して判示事実を認定したものであることは、

第一審判決挙示の証拠を記録について見れば明白であり、右証拠によつて優に判示

犯罪事実を認定するに足るものである。そして被告人の自白を補強する証拠は犯罪

構成要件の一つ一つについて必要とするものではなく、補強証拠と自白とで犯罪事

実全体について十分な心証を与えうればよいのであるから、判示共謀の事実に対す

る証拠としては、必ずしも被告人の自白の外に補強証拠を必要としないものという

べきである(昭和二二年(れ)第一五三号、昭和二三年六月九日言渡大法廷判決、

昭和二四年(れ)第二二九八号、同年一二月二四日言渡第二小法廷判決、昭和二四

年新(れ)第一八四号、昭和二五年二月七日言渡第三小法廷判決参照)。

従つて原判決が憲法三八条三項に違反するという論旨は理由がない。

同第二点について。

公職選挙法二五二条一項の規定及び原判決が被告人等に対し右規定を適用しない

旨を宣告しなかつたことが、所論の憲法の条規に違反するものということのできな

いことは、昭和二九年(あ)第四三九号、同三〇年二月九日言渡大法廷判決に徴し

明らかである。論旨は理由がない。

また記録を精査しても、本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとはみとめら

れない。

よつて同四〇八条により論旨第二点に対する裁判官池田克の少数意見を除く裁判

官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

- 1 -

裁判官池田克の少数意見は、昭和二九年(あ)第三〇四五号同三〇年五月一三日

言渡第二小法廷判決において表示されている意見のとおりである。

昭和三〇年五月二〇日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官 池 田 克

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!